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クリスマスおめでとうございます

tabijinosato

旅路の里 英神父からのクリスマスメッセージ

マリアは月が満ちて、初めての子を産み、布にくるんで飼い葉桶に寝かせた。宿屋には彼らの泊まる場所がなかったからである (ルカ2,6-7)

 ベトレヘムでは、住民登録をするために来た人びとでごった返していた。宿屋がいっぱいだったので、貧しいヨセフとマリアは、「宿屋に泊まる場所がなかった」。仕方なしに、マリアは空いていた馬小屋の中で、イエスを生まざるをえなかった。馬小屋だったので、赤ちゃんのイエスは飼い葉桶に寝かされたのである。飼い葉桶とは、家畜が餌を食べるためのバケツである。そこはわら(干し草)を入れるところだったので、そのわらをクッションにして、イエスは寝かされていた。馬小屋といっても、当時のパレスチナ地方では、洞窟のようなところだったと思われる。

 この夜、ヨセフとマリアはホームレスだった。泊まる場所がなかったからだ。イエスはホームレス状態の中で、誕生された。救い主イエスがホームレスとして誕生し、家畜の餌を入れるバケツが最初の居場所だったのだ。イエスは誕生時、居場所から排除される側におられた。その貧しさの神秘をしっかりと受けとめたい。

 今年(2023年)、イエス誕生の地であるベトレヘムでは、クリスマスの典礼は行われない。イスラエルとパレスチナの人びとの激しい紛争が続いているからだ。例年ならば、ベトレヘムの深夜ミサはCNNなどで世界中に中継されていたのだが。今年はイエスが誕生するにあたり、ベトレヘムからも排除され、泊まる場所がないのだ。それに大きなショックを受けた。

 イエスと心を合わせ、泊まる場所がないホームレスの人びとに心を寄せたい。この旅路の里のある釜ヶ崎の周辺では、今夜50名ほどの人が野宿されている。世界中で戦乱を免れ家を失っているホームレスの人がどれほどおられるだろうか。たとえ、住む家があったとしても、DV、幼児虐待や,ネグレクト、孤独の中で、ホームレス状態の女性や子どもも多数おられるだろう。幼子イエスはその人びとと連帯するため、泊まる場所がないところで、ホームレスの一員としてお生まれになったのだ。今年、イエスは無差別爆撃を受けているガザ地区のど真ん中で誕生されるのだろうか。

 私はホームレスではない。教会の建物の中に泊まる場所があり、暖房の効いた部屋で寝ることができる。自分とホームレスの方との格差、イエスと自分の格差をかみしめながら、飼い葉桶に寝ているイエスを拝みにいきたい。自分にできるわずかな贈り物を携えて。

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